2016.1.14
臨床の現場にいらっしゃる方は経験則でご存知かと思いますが、
患者さんがモチベーション高くリハビリに取り組むことが回復のためには欠かせません。
生理学研究所が、初めて”やる気とリハビリ効果の神経的なメカニズム”を明らかにしました。
やる気を調整する脳の”側坐核(そくざかく)”という領域が関係しているとのことです。
チームの研究者らは、脊髄損傷後のアカゲザルの指の運動が回復する過程を調査し、
回復の過程で側坐核が大脳皮質運動野を活性化させていることを明らかにしました。
アカゲザルの側坐核が活性化しないように薬で抑えると、
リハビリによってもたらされる指の機能の回復が一時的に妨げられることもわかりました。
つまり、リハビリに取り組む際に側坐核で生み出されるモチベーションの神経シグナルが
運動野の活性化を促進することが分かったということです。
こうした研究結果からは、リハビリの効果を上げるために、
患者さんへの脳科学・心理学的なサポートが重要だということが示されています。
”やる気”が単なる精神論や根性論ではなく、
脳科学的な観点からもパフォーマンスを上げる効果があるとわかるのは面白いですね。
Sawada, M., Kato, K., Kunieda, T., Mikuni, N., Miyamoto, S., Onoe, H., … & Nishimura, Y. (2015). Function of the nucleus accumbens in motor control during recovery after spinal cord injury. Science, 350(6256), 98-101.
生理学研究所プレスリリース:
“やる気や頑張り”がリハビリテーションによる運動機能回復に大切であることを脳科学的に証明