REC for 面接
Remote Engagment & Care(REC)for 面接
面接時の口頭でのやりとりや、表情、しぐさからは推し量ることが難しい対象者の心理特性を見える化するための生体データに基づく心理特性プロファイリングシステムです。
本システムは、オンライン面接において、パソコン内蔵カメラやWebカメラによって映された対象者の動画から微細な身体の変化を検出して、AIがその情報を分析して緊張ーリラックス状態を自動的に判別します。そして、状態の変化パターンから対象者の心理特性を分類します。本システムにより、従来の面接では難しかった対象者の潜在的な心理特性を可視化でき、人事プロセスを強力にサポートします。
オンライン面接アプリのAPIまたはSDKを経由し、動画ストリームの取得が必要な場合があります。
ご注意:本システムにて表示する情報は、測定結果により特定の傷病や疾患を診断する意図はなく、医療機関での診断に代わるものではありません。また、独自のアルゴリズムで推定しており、測定結果は使用条件により異なり、個人差があります。
従来の面接で評価が困難なポイント
面接時の口頭でのやりとり、表情やしぐさだけから・・・
- 仕事に緊張感を持って取り組めるタイプなのか?
- 何事にも苦手意識なく対処できるタイプなのか?
- 仕事のストレスに強いタイプなのか?
などの仕事に関わる心理特性を推し量ることが難しい
REC for 面接
センタンのrPPG技術によって、
面接時の対象者のストレス反応(心拍変動)から、
その人の緊張-リラックス状態を判別し、
状態変化パターンから心理特性を分類します
先行研究
面接時のようなストレス状況では、人は心理特性によってさまざまな反応(ストレス反応)を示す (Selye, 1956)
ストレス状況、心理特性、ストレス反応の関係

ストレス状況に対するストレス反応(心拍変動)、どのようなストレス反応が生じるかを規定する心理特性として、ストレス耐性、ストレスレジリエンスがある。
ストレス耐性 | ストレス状況に耐え、許容する能力(Mock et al., 2008) |
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ストレスレジリエンス |
ストレス状況に対して、認知的に適正に評価し、対処する能力(Franklin et al., 2012) ストレスレジリエンスが、不安やうつの低減に寄与している(Hu et al., 2015) |
→ストレス耐性、ストレスレジリエンスを直接計測する客観的指標は無いが、ストレス反応(心拍変動)の緊張ーリラックス状態のパターンから推定できる(e.g., Miyatsu et al., 2023)
Nock et al. (2008) Journal of Consulting and Clinical Psychology, 76(1), 28.
Franklin et al. (2012) Neuron, 75(5), 747-761.
Hu et al. (2015) Personality and Individual differences, 76, 18-27.
Miyatsu et al. (2023) Frontiers in Physiology, 13, 1070285.
ストレス状況に対するストレス反応(心拍変動)をみることによって、その人がどのようにストレス状況を捉えて、対処するのかを規定する心理特性を分類することが可能である
面接対象者の心理特性プロファイリングの実施イメージ
面接対象者の心理特性を推定するために、センタンのrPPG技術により面接時の心拍変動を計測
- 計測:可視光カメラにより面接対象者の顔の動画撮影
- 分析:面接前の安静(最低90秒間)、面接(最低5分間)のrPPGから、それぞれの時間帯の緊張感指標を算出
- 心理特性の分類:面接前の安静、面接時の緊張感指標の変動に基づいて心理特性を分類

生理信号アルゴリズムによる緊張感指標を用いた「緊張―リラックス状態」のパターン判別により、面接時の高騰でのやりとりや表情・しぐさだけからは推し量ることが難しい、その人の「心理特性」を知ることができる。
- コンシーエンシャスタイプ
-
- 面接中に緊張感指標が増加する
- 適度な緊張感を持って面接に対処しているタイプ
- 真面目で責任感があり、タスクに真剣に取り組む傾向
- デリバレイトタイプ
-
- 面接で緊張感指標に大きな変化がない
- 急な緊張やリラックスの反応が起こらず、じっくり対処するタイプ
- 思索を巡らし、タスクの細かい点に気が付く傾向
- エクストロバートタイプ
-
- 面接中に緊張感指標が大きく減少する
- 面接に苦手意識がなく、リラックスして対処しているタイプ
- コミュニケーション能力が高く、物怖じしない傾向

コンシーエンシャス タイプの具体例

面接前2時点の緊張感指標と、面接中2時点の緊張感指標を比較すると、面接中に緊張感が大きくなっている
面接に対して真面目に取り組んでいると考えられる
デリバレイト タイプの具体例

面接前2時点の緊張感指標と、面接中2時点の緊張感指標を比較すると、大きな変化が見られない
自分がどう見られているかや、面接官のリアクションなど細部の情報に意識が向いていると考えられる
エクストロバート タイプの具体例

面接前2時点の緊張感指標と、面接中2時点の緊張感指標を比較すると、大きく低下している
スピーチへの苦手意識が小さく、リラックスできていると考えられる
面接時の心拍変動(RMSSD)と
ストレス耐性・レジリエンス
■ 先行研究
-
安静時とスピーチ時のRMSSDの変化の大きさが,ストレスレジリエンスの高さと関連している
Souza et al. (2013) Resting vagal control and resilience as predictors of cardiovascular allostasis in peacekeepers. Stress, 16(4), 377-383.
-
ストレス対処主観尺度(Brief COPE)の得点の高い群(ストレス対処がうまい人)は,スピーチ時(5分間)と前後の安静時(それぞれ5分間)のRMSSDの差が大きく,得点の低い群(ストレス対処がうまくない人)は,差が小さい
Machado et al. (2021) Association between distinct coping styles and heart rate variability changes to an acute psychosocial stress task. Scientific Reports, 11(1), 24025.
安静からスピーチ,スピーチからその後の安静のRMSSDの変化の大きさは,ストレスレジリエンスの高さやストレス対処のうまさと関連している
-
安静時の心拍変動(RMSSD)の値が高いと,ストレス状況時のRMSSDの変化が大きく,ストレス耐性・レジリエンスが高いと考えられる
Weber et al. (2010) Low vagal tone is associated with impaired post stress recovery of cardiovascular, endocrine, and immune markers. European Journal of Applied Physiology, 109, 201-211.
-
安静時のRMSSDの高さや,ストレス課題中のRMSSDの変化の大きさは,ストレス課題のパフォーマンス(成績)を安定させる(=ストレスがかかっても成績が落ちない)
Spangler et al. (2020) Vagal flexibility mediates the association between resting vagal activity and cognitive performance stability across varying socioemotional demands. Frontiers in Psychology, 11, 541578.
安静時のRMSSDの値の高さやストレス状況時のRMSSDの変化の大きさが,ストレス耐性・レジリエンスの高さやストレス課題のパフォーマンスの安定性と関連している.
■ 生体データ(心拍関連)による面接対象者のストレス耐性・レジリエンス推定の実施イメージ
面接対象者のストレス耐性・レジリエンスを推定するために、センタンのrPPG技術により面接時の心拍変動(RMSSD)を計測
- 計測:可視光カメラにより面接対象者の顔の動画撮影
- 分析:面接前の安静(最低90秒間)、面接(最低5分間)のrPPGから、それぞれの時間帯のストレス対処指標を算出
- ストレス耐性・レジリエンスの指標:面接前の安静、面接時の緊張度指標、ストレス対処指標

■ 面接時の生体データによるストレス耐性の分類
- 良好対処型
-
ストレスに対して緊張感をもち上手く対処できるタイプ
ストレス状況に対して、適切な緊張感をもって上手く対処することができるタイプ
4つの分類の中で最もストレスに強い
- 対処可能型
-
ストレスに対して緊張感をもち対処できるタイプ
ストレス状況に対して、適切に緊張感をもってある程度対処することができるタイプ
- 強メンタル型
-
ストレス状況に緊張を感じないタイプ
ストレス状況でもリラックスしているタイプ
その状況をストレスに感じていない
- 対処困難型
-
ストレスに上手く対処できないタイプ
ストレス状況に対して緊張感を持てず、上手く対処することができないタイプ
抑うつの症状を示す人によく見られるタイプ

良好対処型
ストレスに対して緊張感をもち上手く対処できるタイプ

面接というストレス状況に対して、適切な緊張感を示している
また、ストレスへの対処に関する指標も適切に反応しており、ストレスに強いタイプと言える
対処可能型
ストレスに対して緊張感をもち対処できるタイプ

面接というストレス状況に対して、適切な緊張感を示している
良好対処型の人と比べるとストレス対処の指標の反応が緩く、タイプの分類としてある程度の対処が可能なタイプに分類される
強メンタル型
ストレス状況に緊張を感じないタイプ

面接時点で緊張感指標が低下している
面接に対して緊張を感じておらず、ストレスや緊張を感じづらいタイプに分類される
対処困難型
ストレスに対して上手く対処できないタイプ

面接時点で、緊張感を持つこともリラックスすることもできていない
ストレスに対して上手く反応することができず、抑うつなどのリスクが高いタイプである
その他引用文献
Bradley Chase, Waldemar Karwowski, Michael E. Benedict, Peter M. Quesada & Holly M. Irwin-Chase (2003) A Study of Computer-Based Task Performance Under Thermal Stress, International Journal of Occupational Safety and Ergonomics, 9:1, 5-15, DOI: 10.1080/10803548.2003.11076550
Peifer, C., Sauer, J., & Antoni, C. H. (2020). Effects of social stress on performance and strain in complex multiple task environments. Ergonomics, 63(9), 1088–1100. https://doi.org/10.1080/00140139.2020.1765028
Sauer, J., Jeanneret, A., Smargiassi, O., & Thuillard, S. (2021). Human and machine-induced social stress and cognitive performance. Ergonomics, 64(4), 440–454. https://doi.org/10.1080/00140139.2020.1850883
Schiweck C, Piette D, Berckmans D, Claes S, Vrieze E. Heart rate and high frequency heart rate variability during stress as biomarker for clinical depression. A systematic review. Psychol Med. 2019 Jan;49(2):200-211. doi: 10.1017/S0033291718001988. Epub 2018 Aug 23. PMID: 30134999.
DuPont CM, Weis TM, Manuck SB, Marsland AL, Matthews KA, Gianaros PJ. Does well-being associate with stress physiology? A systematic review and meta-analysis. Health Psychol. 2020 Oct;39(10):879-890. doi: 10.1037/hea0000979. Epub 2020 Jul 20. PMID: 32686951.