CASE
近年、ワークスペースや家庭環境におけるメンタルヘルス対策やリフレッシュ体験の価値向上を目指し、多様なストレスマネジメントソリューションやリラクゼーション体験の開発が進んでいます。
大手エレクトロニクスメーカーのクライアント企業様においても、ユーザーに対して最適な休息や気分転換を提供する新規体験・機能の企画・評価を進めていました。しかし、従来の製品評価・UX検証において主流であった「アンケート(主観評価)」には、以下の大きな限界が存在していました。
そこで本検証では、「認知タスクによる急性的ストレス負荷後において、各種アクティビティが自律神経および心理状態に与える回復効果は、生理指標(心拍変動解析)によって客観的に識別・定量化できるか」という仮説・研究課題を設定し、科学的アプローチによる予備検証を実施しました。
本実験では、外部環境や被験者のバイアスを極力排除し、再現性と科学的妥当性を担保した厳密な実験プロトコルを設計しました。
本検証では、以下のタスクと指標を用いて多角的な評価を実施しました。
主観評価データと生理データを突き合わせて解析した結果、「被験者が自覚している気分」と「身体の自律神経が示している回復反応」との間に明確なギャップ(ズレ)が浮き彫りとなりました。
ストループ課題によって全条件で緊張覚醒(TA)スコアが大幅に上昇(平均1■点台後半〜2■点台へ上昇)し、ストレス負荷の誘発が確認されました。その後のアクティビティ実施後、すべての条件においてTAスコアの顕著な低下(平均1■点台前半)が認められました。主観アンケートのみを参照した場合、「どの手段をとっても等しくストレスは解消される」という結論に至ってしまいます。
一方、心拍数(HR)およびRMSSDの時系列推移を分析すると、まったく異なる生理動態が観察されました。
「気分転換になった」というユーザーの主観的報告には、「交感神経覚醒を伴う気分の高揚(覚醒型リフレッシュ)」と「迷走神経活動の上昇を伴う生体の沈静化(回復型リフレッシュ)」という、生理学的に真逆のメカニズムが混在しています。本検証により、ウェアラブル心拍変動解析(特にRMSSDのモニタリング)を用いることで、アンケート調査では検知不可能な「真の生体ストレス低減・副交感神経回復度」を客観的・定量的に評価・分類可能であることが実証されました。
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