CASE
大手消費財メーカー様では、次世代携帯デバイスの開発にあたり、ユーザーが直感的に「使いやすい」「手に馴染む」と感じる最適な筐体設計(重量と重心位置の組み合わせ)を模索されていました。
しかし、従来の5段階評価などの絶対評価アンケートでは、「どれも使いやすい」「違いがわからない」といった天井効果が生じやすく、製品間の微小な差を弁別することが困難でした。
ユーザー自身も「なぜそれが使いやすいのか」を明確に言語化できず、設計パラメータ(重さや重心位置)に紐づく科学的なエビデンスが得られないという課題を抱えていました。
サーストン法を採用した理由は、比較対象間の心理的距離を「間隔尺度」として1次元の連続体上にマッピングできる点にあります。絶対評価では見過ごされがちな「AとBの差」と「BとCの差」の大小関係を統計的に推定可能となり、人間の感性という曖昧な主観を、解釈可能な科学的データへと変換することができます。
全体(N=20■)を通した評価では、上位1位〜3位までを「形状A(スリムタイプ)」が独占し、「形状B(ボックスタイプ)」は相対的に低い心理的価値に留まりました。
しかし、興味深いインサイトとして、「形状B」のプロトタイプ群の中だけで比較解析を行った結果、全体評価では下位に沈んでいた特定の重量・重心の組み合わせ(条件S)が1位となり、全体傾向とは逆転する現象が確認されました。これは、ユーザーの「使い心地」という感性が絶対的なものではなく、比較されるコンテキスト(カテゴリの枠組み)によってダイナミックに変化することを示しています。
男性(N=10■)と女性(N=9■)の層別解析においても、特定の重量・重心に対する受容度に明確な差異が間隔尺度上で確認され、ターゲットセグメントごとに「最適なフィジカル体験」が異なることがデータとして実証されました。
本実験により、従来の主観的絶対評価では可視化できなかった「重量×重心位置がもたらす微小な使い心地の差」を間隔尺度として定量化することに成功しました。これにより、「なんとなく使いやすい」という定性的な評価が、設計に落とし込める具体的な数値エビデンスへと昇華されました。
お問い合わせ
センタンへのサービスに関するご相談はこちらよりお問い合わせください